アラーム履歴

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ある日、スマホのアラーム履歴を整理しようと思い立った。気がつけば履歴には膨大な時間が刻まれていたからだ。「午前4:00」「午前3:00」「午前2:30」。過去にはなかなかの早起きに挑戦する自分がいた。

一つひとつのアラームには、それをセットしたときの俺の意図や事情があったはずだ。だがその記憶はあいまいだ。

例えば、「午前2:30」のアラーム。これは間違いなく何かに追われていた時期の名残りであるのはわかる。ただ朝っぱらから起きて一体何をしていたのか。試験対策だったのか、早朝移動だったのか、はたまた修論提出前の仮眠か。過去の自分がちゃんと起きれたかは定かではないが、俺の手元には「午前2:30」という数字だけが残っている。

実際のところアラームの時間と実際に起きた時間は必ずしも一致しない。「午前3:00」にセットしておいて結局起きたのは6:00だった、なんてこともザラにあるだろう。アラームは「起きるための道具」ではなく「起きようとした形跡」なのだ。頑張っていたのではなく頑張ろうとしていただけかもしれない。それでもその「形跡」には意味がある。過去の俺は、少なくとも「頑張ろう」という気持ちは持っていたのだ。

そんなことを考えながら不要なアラームを削除していった。もう使わないアラーム時間を消すたびに少しずつ過去の自分が遠ざかっていく気がした。だが、その時間に闘っていた俺がいたことはしっかりと覚えておくことにする。

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